健康宣言から3年で「健康経営銘柄2022」に認定も
「今でも強い課題意識」
―2019年に健康宣言をされてから3年で、「健康経営銘柄2022」認定されましたね。
おかげさまで「健康経営銘柄2022」の認定をいただきましたが、この認定項目によっては偏差値が低いものもありました。例えば、建設業界の多くの会社では労働時間を問題として抱えています。弊社としても労働時間に対する課題意識は以前から強く持っていました。建設業界の繁忙期は基本的に工期に合わせて来ます。弊社は建設現場で従事する社員が多いですが、現場仕事に関わる内勤のスタッフも多くいます。さらに社内だけでなく、弊社協力会社など工事に関わる人全てが基本的に工期に連動して忙しくなります。この課題解決のため、健康宣言を出した2019年に健康管理室(その後健康推進室へ名称を変更)という専門部署を新設し、また産業医や保健師を設置するなど健康経営を推進していく体制を整えました。その後、DX部門を立ち上げITを駆使した業務効率化やシフト制の活用など様々な取り組みを行ってまいりました。徐々に改善されてきていますが、やはり今でも強い課題意識を持っている、というのが現状です。
―建設業界ならではの特性もあるんですね。他に健康増進施策としてどんな取り組みをされていたんですか?
以前に運動会を実施していたことがあります。両国国技館に社員の家族も招待して開催していました。ただ、首都圏の社員でないと参加ができないので、当時は全国にある支店ごとの判断で実施していて、野球大会や駅伝大会などの開催実績があります。コロナ禍に入ってからはリアルな場所での施策が難しく開催できていませんでしたが、今後フットサル大会を予定している支店もあり、復活の兆しがあります。
管理のしやすさや初期ハードルの低さ、
全国単位で実施できる点に魅力
―「aruku&」を導入いただいた背景についてお聞かせください。
2019年に健康管理室を立ち上げたことを機に、健康診断の結果を一元管理できるシステムを導入しました。健診結果の分析は、それまであまり積極的には取り組めていませんでしたが、ちょうどコロナ禍に突入した翌年に最初の集計をすることができました。その結果、運動習慣やBMI、生活習慣など様々な問題が発覚しました。
弊社では、感染対策や働き方改革の観点から2020年4月よりテレワーク制度を導入しています。今では状況に合わせて出社比率は増えていますが、やはりテレワーク推進によって悪化したポイントがあったのではないかと推測しています。また、建設業界では多いといわれますが、もともとメタボ率や喫煙率、飲酒率が多いという問題もありました。
こうしたことを背景に、全社員に対して健康増進施策が何かできないかと様々なアイデアを考える中で「aruku&」を知りました。管理者が管理しやすい点や、また社員全員に社用のスマートフォンを貸与しているためアプリをインストールするだけで始められるという初期導入ハードルの低さ、さらにはアプリですのでエリアに限定されず全国単位で実施できる、といった点にも惹かれました。実は、aruku&を活用されているミズノさんにご紹介いただいたことや、従業員の100%がテレワークの中でフル活用されているウイングアーク1stさんのセミナー内容も後押しとなりました。
―aruku&の施策について、健康推進室、働き方改革推進室、総務部と3部門共同で行っていらっしゃいます。この体制で運営するに至った背景について教えてください。
健康推進室は先ほどお話しした通りですが、従業員の健康のことを考える必要があります。働き方改革推進室は、テレワークなど社員の働き方だけでなくコミュニケーション活性化について考えている部署です。総務部は社内のイベントを統括している部門になります。この3部門は全て近い距離にある部門でして、aruku&を活用したイベント施策は、3部門の役割やミッションの観点から共同で推進するのがいいかと考えました。
半年で6回のイベントを実施!
―実際にaruku&を活用して実施されたイベントについてお聞かせください。
2021年10月に導入してから2022年3月までに、計6回開催しました。
1回目の目標歩数はみんなで話し合って8,500歩にし、個人戦と支店対抗戦を行いました。8,500歩は、国立健康・栄養研究所が「健康日本21」の中で定めている目標歩数のうち女性の目標歩数に合わせたものです。初回から全社員の6割程度が参加してくれました。弊社ではAmazonの法人向けサービス「Amazonビジネス」を導入しており、インセンティブには、個人利用ができる形でAmazonポイント(Amazon.co.jp上で、1ポイント=1円で商品購入に利用できるポイント)を進呈することにしました。1回目は達成者が思った以上に多く、300名以上が達成して驚きました。実は、それまでAmazonビジネスの利用率に伸び悩んでいましたが、aruku&のイベントでAmazonポイントをインセンティブに設定したところ一気に利用率があがったという副次効果もありました。5回目のイベントでは、AmazonポイントではなくAmazon上で引き換え可能な実際の商品にしました。腹筋ローラーやマッサージ器など健康とリラクゼーションをテーマに選定し、達成者が自ら選べる形にしました。
3回目のイベントでは、初めて社会貢献をテーマにチャリティイベントを実施しました。それまで開催してきた中で、「より一体感を促進したい」と考えたところからアイデアを形にしました。社員みんなで歩くだけで社会のためになる、という発想がいいと考え、参加者全体の合計歩数1,000歩につき1円を寄付するという内容です。他社様の事例も参考にさせていただきましたが、社内から「いいアイデアですね」と反響もありました。
年末には社内からアイデアが挙がり、1日限定の耐久レースをやることになりました。「1dayチャレンジ」と題して、日にちが変わった0時から深夜24時まで24時間限定で実施する、というイベントです。このイベントの優勝者の歩数は、11万歩でした。フルマラソンよりも長い距離を移動した計算になりますね。アイデアを出してくれた社員は残念ながら2位でしたが、それまでにない面白いイベントになったと思います。歩きすぎてしまうのも心配になってしまうので、次の実施は慎重に検討したいと思います。
6回目のイベントでは「HAKUTO-R」を絡めたイベントを開催しました。HAKUTO-Rは株式会社ispaceの民間月面探査プログラムで、弊社はコーポレートパートナー契約を締結しております。これに絡め、イベント名を「WALK TO THE MOON」と題し、参加者全員の総歩数を距離に換算してHAKUTO-Rのランダー(月面着陸船)を月まで到達させることを目標としました。これを可視化いただけるaruku&のオプションサービスを活用していつでも進捗状況を見られるようにしました。イベントは盛り上がりましたが、結果はあと一歩のところで終わってしまいました。実は無事に月に到達できたら月がくす玉のように割れる仕組みでした(笑)見られず残念でしたね。
【イベント概要】全て個人戦・支店対抗戦で実施
・1回目イベント
「第1回たかさごウォーキングCP ~みんなで健康!気持ちもひとつに~」
開催時期:2021年10月10日~10月31日
目標歩数:8500歩
インセンティブ:上位入賞者にAmazonポイントを進呈
・2回目イベント
「第2回たかさごウォーキングキャンペーン ~ウォーキングの秋!目指せ1万歩!~」
開催時期:2021年11月8日~11月30日
目標歩数:15,000歩、10,000歩、8,500歩、5,000歩の4段階を設定
インセンティブ:4段階の目標歩数の達成度に応じたもの、111~999位のゾロ目の順位をとった参加者には「ゾロ目賞」を用意
・3回目イベント
「第3回たかさごウォーキングCP12月」
開催時期:2021年12月6日~12月24日
内容:社会貢献をテーマに、参加者の総歩数1,000歩につき1円を子どもの支援団体へ寄付
(「社是にもフィットし団結感にも繋がった」とのこと)
・4回目イベント
「年末特別企画 1DAY CHALENGE」
開催日:2021年12月26日
インセンティブ:一日平均30,000歩以上を達成した参加者に用意
・5回目イベント
「第4回たかさごウォーキング WALK FOR ONE TAKASAGO~みんなで歩いてお正月太り解消!~目指せ!-1kg減!」
開催時期:2022年1月10日~1月31日
目標歩数: 8,850歩(1日379kcalを消費し、22日間で-1kgを目指す)
インセンティブ:平均歩数8,850歩/日の達成者全員
・6回目イベント
「WALK TO THE MOON ~GO TO THE MOON~第5回たかさごウォーキングキャンペーン」
開催時期:2022年2月1日~3月31日
内容:月面探査プログラム「HAKUTO-R」を、参加者の総歩数を距離に換算し月に到達させる
※進捗状況を可視化するaruku&のオプションサービスを活用
インセンティブ:上位入賞者、上位団体、および4回目を除く全イベントの総合順位(個人)に応じて用意
―どれも魅力的で、運営のみなさんの知恵と愛が詰まった内容ですね。実施するのが大変だったのではないかと思いますが‥
そうですね、いつもイベントのことを考えて、毎回頑張りました。「楽しみにしているよ」と声を掛けてくれる社員もいましたので、期待に応えられるように毎回内容を変えながら実施してきました。
―イベントの告知はどのように実施されたのでしょう?
イントラでの掲載がメインです。健康関連のお知らせをまとめた「たかさご健康だより」という社内報を活用しました。イベント告知のために号外も出しました。他にも、各部門からの発信、部内での個々への声掛けもしましたし、また支店にも連絡するなどして全社的に情報が行きわたるようにしました。
―振返ってみて、イベントの成果はいかがでしたか?
たくさんの嬉しい反応をもらい、効果を実感しています。「続けて欲しい」「来年もやってほしい」などイベントを楽しみ次回に期待してくれるコメントや、「子どもがaruku&のキャラクターを気に入ったので一緒にやっている」「運動する時間を作るようになった」など運動の習慣化に繋がったというコメント、さらに「体重が5kg落ちた」という報告をもらったこともあります。弊社代表の小島(代表取締役社長COO 小島和人氏)が喜んで参加してくれたことも大きかったですね。健康管理と関係ないところでも、社員同士で「今日何歩だった?」という会話が繰り広げられるなどコミュニケーションの活性化にも繋がりました。
参加者のコメント
・個人ではなかなか運動しないですが、日々の生活や仕事の中で自然に健康イベントに参加できたのが良かったです。
・気軽に集まれないコロナ禍だからこそ、個々で黙々と取り組めるこのイベントはかなり参加しやすかったです。
・ちょっとした距離であれば車を使わず歩くようになり、ガソリン代の節約にもなっています。
・職場のコミュニケーションが向上したことが一番よかったです。年代が違う方々との共通の話題が出来るのは大変ありがたいことで、またイベントを開催してほしいと思いました。
「テレワークを実施している企業様や全国に拠点がある企業様に、
特に便利だと伝えたい」
―今後のイベントの予定や、aruku&を活用して実施してみたいことがありましたら、差し支えない範囲でお聞かせください。
健康課題への取り組みやコミュニケーション活性化施策は、何らかの形で継続していきたいと思っています。健康管理室が立ち上がる前には運動会があったとお話ししましたが、建設業は基本的に支店があり、その先に営業所があり、さらにその先に現場がある、という構造になっています。こうした構造ですと様々な点で把握がしにくかった。そんな中で、aruku&を活用したイベントは全社で統一的に実施できましたので大きな成果があったと感じています。
テレワークを実施している企業様や全国に拠点がある企業様に、特に便利だと伝えたいです。
―貴重なお話をありがとうございました!
今回お話をお聞きした方:高砂熱学工業 人事部長 田山直輝氏、健康推進室 室長 幸田和久氏、同・主任 石田彩子氏、同・保健師 村山亜矢子氏、総務部 濱口翔子氏