コラム

冠動脈疾患になるリスクを避けるには

2019年6月19日
提供元:
NPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会 株式会社ライフケアパートナーズ
冠動脈疾患とは
狭心症や急性心筋梗塞のことを冠動脈疾患といいます。
心臓は胸の中央のやや左寄りにあり、握りこぶしよりやや大きく、成人では200~300gの大きさがあります。
焼肉で「ハツ」というのがありますが、これは牛の心臓で英語の「ハート」(Heart)が語源です。
心臓は1分間に60~80回くらい拍動しています。
1日では10万回くらい拍動して血液を全身に送り出しているので、とても働き者の臓器です。

複数の狭心症と、急性心筋梗塞の関係
この心臓を動かす酸素や栄養素を供給しているのが、冠のように心臓をとりまいている冠動脈です。
冠動脈の内側にコレステロールが徐々にたまると血管が狭くなって心臓の動きが悪くなり、胸痛や胸部の圧迫感が起きます。
これが狭心症の一般的な症状です。運動などにより胸部の症状が起こるのが労作性狭心症で、安静で胸部症状がない時には心電図では明らかな変化を認めません。
そのため、運動時の心電図を測定して診断を下します。
一方、冠動脈が一時的にけいれん(スパズム)を起こして、心筋に虚血が起こるのが冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症です。
また、狭心症の発作が突然出て何度も繰り返すのが不安定狭心症です。
急に冠動脈が閉塞すると、急性心筋梗塞となります。
典型的な症状の人もいますが、背中の痛みや腹痛、肩の痛みを訴える人、息苦しくなったり冷や汗をかいたりするなど症状も様々です。

リスクを避けるために
10年以内の冠動脈疾患発症の確率を予測する「吹田スコア」という方法があります。
これは年齢、性別、喫煙、血圧、HDLコレステロール(HDL-C)、LDLコレステロール(LDL-C)、糖尿病(空腹時血糖値126mg/dL以上あるいは糖尿病薬の服用)、早発性冠動脈疾患の家族歴から計算します。
年齢、性別、家族歴を変えることはできませんが、禁煙や、血圧、コレステロール、血糖を改善することはできます。
特に重要な項目として、「禁煙」が位置付けられています。
冠動脈疾患のリスクは禁煙後1年でほぼ半減し、禁煙して15年後には非喫煙者と同じくらいになります。
喫煙している人は禁煙にチャレンジしてみては?