コラム

運動による予防・改善効果~脳卒中

2019年6月5日
提供元:
NPO法人EBH推進協議会
株式会社ライフケアパートナーズ

 

京都大学の家森幸男先生の研究で、高タンパク食(大豆や魚)や食物繊維を十分与えると、遺伝的に脳卒中になるラットにおいても、脳卒中が予防できることが可能であると証明されました。
植物油や魚油には、中性脂肪を減少させる働き、血栓の発生(血が固まる)を防止する働きや血圧を下げる働きがあり、食物繊維にはコレステロールや食塩(ナトリウム)を体外に排泄する機能があり、動脈硬化を予防すると考えられます。
動脈硬化は、その性質によって粥状(じゅくじょう、かゆじょう)のコレステロールの塊が血管壁につくアテローム硬化のほか、中膜硬化、細動脈硬化などに分類されます。
習慣的運動は、これらの動脈硬化に対して予防的あるいは治療的効果を発揮します。
日頃運動している人では、とりわけ粥状の血栓にかかわるアテローム硬化の発生が少なく、また一旦発生したアテローム硬化が運動によって軽減される可能性も指摘されているのです。
その奏効メカニズムは、中性脂肪や悪玉コレステロールの減少と善玉コレステロールの増加などを主とする脂質の構成の改善が大きいと考えられています。
その他に、動脈の内膜への脂質取り込みが抑制されることも関係していると考えられています。
血管の伸縮にかかわる中膜硬化に対しても、運動は有効です。
血管の柔らかさに関係するエラスチン(コラーゲンを支える弾力性のあるたんぱく質の一種)の変性や、このエラスチンヘのカルシウム沈着が、運動によって抑制されます。
運動習慣のある人は動脈の伸展性や強さが優れており、血管の若さが保たれます。
これらのことから、予防習慣として運動を老齢期まで続ければ、脳卒中をはじめとする脳血管系疾患に対して効果が持続される可能性があります。
老齢期の運動でも、酸素の取り込み能力の改善、ヘモグロビンの増加、心臓の収縮能力の増加などが認められています。
また、習慣的運動は、脳への酸素供給能力を維持し、脳機能を保全することによって、健全な精神活動を営む基盤を築くことにもなります。