コラム

「ラクナ梗塞」って何?

2018年8月1日
提供元:
NPO法人EBH推進協議会
株式会社ライフケアパートナーズ
「ラクナ梗塞」って何?
寝たきりなど介護が必要となる原因の第1位が脳卒中(脳血管疾患)。脳卒中は、脳の血管がつまる脳梗塞と、脳の血管が破れて出血する脳出血やくも膜下出血に分けられます。厚生労働省の患者調査(平成26年)によると、脳卒中の患者数は117万9,000人。脳卒中で亡くなる人は、人口動態統計の脳血管疾患による死亡総数(平成26年)では、年間11万人ほどで、その6割が脳梗塞と言われています。
ところで、脳梗塞が心配になった人が脳ドックでMRI検査を受けたら「ラクナ梗塞がありますね」と説明されることがあります。この「ラクナ梗塞」とは何でしょうか?
これは脳梗塞のタイプのひとつです。脳梗塞は、心臓にできた血栓が剥がれて移動し、脳の血管を詰まらせる心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)、脳の太い血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞、そして脳の細い血管が詰まって起こるラクナ梗塞というのがあります。日本人に最も多いのがラクナ梗塞で、直径15㎜以下の小さな梗塞です。ちなみに「ラクナ」とは、ラテン語で「小さなくぼみ」のことです。普通は脳梗塞になると、片麻痺(かたまひ、へんまひ とも読みます)や言語障がいがみられますが、小さな梗塞ができる部位によっては症状が出ないために、人間ドックで初めてみつかる場合もあります。
ラクナ梗塞を放置しておくと、脳血管性の認知症になるリスクが高まります。決して治療の楽な梗塞ではありません。ラクナ梗塞になる背景には高血圧や糖尿病があります。普段から血圧や血糖管理を心がけておきたいものですね。
それでは、脳卒中の発作が起きた時にはどうしたらよいでしょうか? 片麻痺や言語障がいなどの症状を伴う脳梗塞が起きた際には血栓溶解療法が用いられます。その勝負タイムは、発作が起こってから4.5時間以内。迅速に治療を受けることで社会復帰できる可能性が高まります。
脳卒中のチェック方法は「顔・腕・言葉」です。次の項目のいずれかが当てはまる場合、症状が出てきた時間を確認して救急車を呼び、医療機関に受診するようにしましょう。
・顔…笑ったときに、口や顔の片方がゆがまないか
・腕…両手を上げて、片方の手が下がっていないか
・言葉…「今日は天気が良い」など簡単な言葉が出ない、もつれるなどしていないか