コラム

食べ過ぎたらどうなる? (前編)

2018年2月15日
提供元:
NPO法人EBH推進協議会
株式会社ライフケアパートナーズ
食べ過ぎたらどうなる?
 これからご紹介するのは、動物(ラット等)でなく人間を使った初めての過食実験です。人間に過食をさせ、食べたタンパク質、炭水化物、脂肪、そして、エネルギー代謝を24時間測定する装置を、スイス・ローザンヌ大学のエリック・ジェクイエール(Eric Jequier)という人が世界で初めて開発しました。
 さて、ジェクイエールが行った実験(1993年)ですが、食べたものを24時間エネルギー測定すると、タンパク質、炭水化物、脂肪がきちっと燃えているということが証明できました。そこで、同じ人に脂肪だけ1000キロカロリー多く食べさせてみたら、この余分に摂った脂肪は、24時間以内に全部体脂肪になりました。脂肪をたくさん食べたからといって、余分に発熱することは一切ありません。これはラットも人間も一緒です。
 そこで次に、通常の1.6倍のエネルギーの脂肪と糖質をミックスした食事を9日間、毎日食べさせました。脂肪を1.6倍食べていますから、人間の身体は、脂肪をどんどん摂取していきます。たくさん脂肪を摂ると、逆に身体は脂肪を使わなくなります。これだけ余分に脂肪を摂ったのに、自分の身体の脂肪は今までより使わなくなっていきますから、全て身体の脂肪になり、実験に参加した人は全員1.6キログラムほど太りました。
 一方、余分に摂った1.6倍の炭水化物は全て代謝され、肝臓と筋肉のグリコーゲンに変わりました。ところが面白いことに、2日目、3日目、4日目と同じだけ食べさせているのに、最後の9日目に食べた炭水化物は全て燃焼しています。つまり、人間は、自分に必要な糖質をグリコーゲンとして貯められるだけ貯めて、貯められなくなったら発熱して、どんどん熱として消費していくのです。この9日間、身体についた脂肪は90グラムでした。1日に10グラム以上は人間の肝臓で糖質から脂肪に変換する能力はない、ということが明らかになりました。
 結果、9日間の混合食の過剰摂取では、脂質利用は減少しますが、糖質の酸化、燃焼は、エネルギーバランスが均衡になるまで増加します。高脂肪食は高糖質食より圧倒的に肥満を引き起こす食事であることがわかります。ですから脂肪の多い食事は良くないのです。