コラム

内臓脂肪を減らす食事の工夫~温故知新をたずねて

2019年12月16日
提供元:
NPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会、株式会社ライフケアパートナーズ

日本人の食生活は第二次世界大戦後、大きく変化してきました。1950年と比べ、現代は1日当たりの米の消費量はほぼ半減し、肉類など動物性たんぱく質の摂取量は2倍、脂質の摂取量は3倍となっています。

そこで、いつの年代の食事がもっとも健康によいのか、1960年、1975年、1990年、2005年の和食の餌を作り、マウスに食べさせた実験が都築毅博士らのグループ(東北大学)により行われました。

その結果、1975年の和食メニューが最も内臓脂肪の蓄積が少なかったのです。

 

1960年の食事の特徴は、ご飯の量が多い割にはおかずが少ないことです。この時代は食品の流通も不十分で今のように冷蔵庫が家庭にありませんでした。そのため、どうしても漬物などの塩蔵品が多い傾向にありました。

 

1975年になると、食品の流通が進んで、多様な食材が使えるようになってきました。日本の伝統的な食材の魚介類・海藻類・大豆製品に加えて、野菜・果物・卵も1年を通じて手に入るようになりました。肉じゃが、おひたし、酢の物などのメニューに加え、オムレツやシチューなどの料理も食べるという、バランスの良い和洋折衷の食事となりました。

 

ところが、1990年代に入ると、欧米の影響を受けすぎ、伝統的な和食の良さが少しずつ失われてきました。副菜は肉料理が中心となり、魚料理がだんだん少なくなってきました。外食産業が発達するに従い、動物性食品の摂取が多くなっています。それに対して、野菜の摂取量が格段に少なくなってきました。

 

2005年になると、食事の炭水化物量が少なくなり、肉類や油脂類の摂取量が多くなり、魚介類はあまり食べなくなりました。単身赴任などで単身者が増え、おかずの少ない丼ものなどの単品メニューもよく食べられるようになってきました。

 

このようにして比較してみると、内臓脂肪を減らす食事は1975年が理想といえます。そして、そのメカニズムとして、内臓脂肪蓄積と関連するGIPという消化管ホルモンにかかっていることも明らかとなってきました。

このホルモン過剰に分泌させないためには、次の3つのポイントがあります。

 

1.脂質を減らしてたんぱく質を増やす

2.糖質をとるなら食物繊維をたっぷりととる

3.魚をよく食べる

 

このように、健康的な和食の特徴を上手く取り入れて、内臓脂肪を減らす食事を工夫したいものですね。