コラム

レントゲンと胸部Ⅹ線

2019年6月19日
提供元:
NPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会 株式会社ライフケアパートナーズ
胸部Ⅹ検査で用いる「Ⅹ線」(エックス線)は、ドイツのヴィルヘルム・レントゲン博士によって1895年に発見されました。
妻の指輪が写っている写真は特に有名です。
このⅩ線という名前のⅩの由来は「未知数」。
Ⅹ線の命名者はレントゲンなのですが、「レントゲン」と発見者の名前で使われることも多いですね。このⅩ線を用いた胸部Ⅹ線検査では、胸部にⅩ線を照射し、肺などに異常がないかを調べます。
一昔前までは、日本の国民病として結核が死因のトップでした。
そのため、結核のスクリーニングとして胸部Ⅹ線検査が用いられてきました。
今では、肺がんの最初のスクリーニング検査として用いられています。胸部Ⅹ線検査で、肺結節(白っぽい類円形の影)が見つかるのは2.1~6.2%(※)と報告されています。
その中に肺がんが潜んでいます。
胸部Ⅹ線検査では、肺がん以外にも、肺炎、肺結核、肺気腫、胸水、気胸など呼吸器疾患だけでなく、心臓の大きさもわかります。
心臓の陰影の横幅が、胸の横幅の50%よりも大きくなっていると心肥大と判定されますが、これは肥満、心不全、心臓弁膜症などの場合にみられる所見です。
中には、大動脈の石灰化がみられる場合もあります。
肺がんになる人の割合について、男性は7.4%、女性は3.1%です(※)。
タバコを吸わない人に比べるとタバコ吸う男性は4.4倍、タバコを吸う女性は2.8倍、肺がんになるリスクが高まります(※)。
喫煙している人は、胸部Ⅹ線検査を受けることも大切ですが、すぐに禁煙をお勧めします。
また、肺がん以外にも表のような病気が考えられますので、気になることや自覚症状があれば、早めに受診するようにしましょう。
(※EBMの手法による 肺癌診療ガイドライン 2016年版、金原出版; 第4版、2016より)