コラム

意外と知らないノロウイルス

2019年2月15日
提供元:
NPO法人EBH推進協議会
株式会社ライフケアパートナーズ
意外と知らないノロウイルス
嘔吐(おうと)、水様の下痢、腹痛などの感染性胃腸炎の原因となる「ノロウイルス」。日本における食中毒の原因物質の第1位です。
(厚生労働省:平成28年食中毒発生状況より。354事件、患者数11,397名)
「ノロウイルス」の名前の由来は、1968年に小学校で胃腸炎が集団発生したオハイオ州のノーウォーク(Norwalk)という町の名前から。
米国疾病対策センター(CDC)の報告によると、米国の人は生涯で平均して5回のノロウイルスに感染、米国全体の2人に1人が外来を受診、9人に1人が救急外来を受診、50~70人に1人が入院、年間5,000~7,000人が残念ながら死亡すると推定されています。日本の場合、人口動態統計(平成26年)によると、年間2,405人の方がノロウイルスなど感染性胃腸炎で亡くなっています。
ノロウイルスの多くは軽症で経過しますが、中には前述のとおり重症化する症例があります。
ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間で、嘔吐、下痢、腹痛など(発熱は軽度)の症状が1~2日続いた後、軽快します。
また、感染しても発症しない場合もあります。
医療機関では、診断のために、便の中のノロウイルスについて検査キットを用いて検査をする場合があります。
ただし、健康保険が適用されるのは年齢が3歳未満、あるいは65歳以上で医師が医学的に必要と判断した場合に限られます。
現在のところ、ノロウイルスに対する抗ウイルス剤はありません。そのため、脱水や体力を消耗しないように、水分と栄養の補給が治療として行われます。
脱水症状がひどい場合には輸液療法が医療機関で行われます。下痢止めの薬は、病気の回復を遅らせる可能性があり、あまり使われません。
現在、ノロウイルスに対するワクチン開発が進んでいますが、ノロウイルスによる感染性胃腸炎を予防するには、帰宅時や調理を行う前、食前、あるいはトイレに行った後にきちんと手洗いすることや、しっかりと加熱して食べることです。キッチンや調理器具の消毒、手や食器だけでなくドアノブなど頻繁に手で触れるものを清潔に保つようにしておくよう心がけましょう。そして、何よりも大切なのは、普段から運動や充分な睡眠を心がけ、抵抗力をつけておくことですね。