三大合併症のうち、最初に出てくるのが足のしびれや、こむら返りなどの神経障がい。高血糖が続くと、5年ぐらいで症状がみられる人がいます。
次は失明ですが、その原因となる網膜症が出てくるのが、高血糖が続いてから7~8年くらいから。透析の原因となる腎症は、個人差があるのですが、高血糖が10年から15年続くと、尿にタンパクが下りてくる人がいます。
一方、太い血管が傷ついて起こる動脈硬化は、糖尿病の予備群のころからすでに始まっていて、心筋梗塞などで入院する方の3分の2が糖尿病かその予備群といわれています。動脈硬化が起こると、脳梗塞や心筋梗塞に至るリスクはおおよそ2~3倍です。
糖尿病というのは、要は血糖を調節しているインスリンの作用の不足で起きます。不足する原因としては、まず、すい臓からインスリンが全く出なくなる場合。もう一つが、インスリン抵抗性(インスリンの働きを妨げる物質が体内で増え、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなる状態)が起きる場合です。この二つの原因に応じて治療法も異なります。
現在、日本で発売されている糖尿病の飲み薬は7種類。すい臓を刺激する薬、腸での糖の吸収を穏やかにする薬、肝臓の糖の新生を抑える薬、腎臓に効いて尿糖を排出させるものなど。でも、残念ながら、その中には筋肉と脳に効く薬はありません。つまり、運動したくなる薬、食欲を抑える薬はないわけです。
とはいえ、この運動と食欲のコントロールは、糖尿病の治療や予防にとって、最も基本的で効果的な対策です。