コラム

運動による予防・改善効果~脂質異常症と高血圧

2018年9月5日
提供元:
NPO法人EBH推進協議会
株式会社ライフケアパートナーズ
運動による予防・改善効果~脂質異常症と高血圧
心臓は、毎日約7200リットルの血液を、総長10万キロメートルにも及ぶ全身の血管網に循環させています。
そして、60兆以上の全細胞にエネルギーを供給しています。
その血液が脂をドップリ含んで、しかも高い圧力(高血圧)でカラダを駆け巡れば、やがて血管のいたるところに動脈硬化が起こってくることは想像に難くないのではないでしょうか。
脂質異常症(最近まで高脂血症と呼ばれていました)とは、血液がいわゆるドロドロと脂ぎった状態になっていることを指します。
血液の中の総コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の値が高いほど、また、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低いほど、冠動脈は詰まりやすく、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすいことが明らかになっています。
習慣的な運動の継続は、動脈硬化を引き起こす中性脂肪や悪玉コレステロールを減らしてくれます。
また、動脈硬化を予防する善玉コレステロールを増やしてくれるのです。
この善玉コレステロールとは、血液の中にダブついた悪玉コレステロールを化学的に分解して、ふん便の中に放り出してくれる、まさに「善玉」のコレステロールなのです。
脳卒中や、動脈硬化症でみられる血管の変化にも関係の深い高血圧症も、中等度の有酸素運動の継続で大幅に改善することはよく知られています。
世界保健機関(WHO)が、高血圧症の非薬物療法で最も推奨しているのが運動です。
運動によって、塩分発汗量が増加することや、血管を収縮させる交感神経活動が緩和されることによって、血圧の低下がもたらされます。
最近の研究では、高血圧症の薬物療法でよく処方される利尿剤に似た物質(心房性ナトリウム利尿ペプチド)が、運動中に心筋から放出されることが明らかになっています。
つまり、運動すれば、自分の血圧を正常に保とうとする自動調節が働くのです。