コラム

海外旅行の感染症リスク、「自分だけは大丈夫」!?

2020年3月9日
提供元:
NPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会、株式会社ライフケアパートナーズ
ノートPCのキーボードにのるパスポートとカメラ

海外旅行が容易になり、シニア世代も含め海外に出かける方が増えています。海外と日本では予防接種制度や感染症の流行状況に違いがあり注意が必要です。

 

旅行前の3つの注意点

実は、感染症リスクは「個人差が大きい」のです。自分は大丈夫か、確認してみましょう。

 

① 自分の免疫のこと

年齢によってリスクが全く異なります! たとえばA型肝炎は、衛生状態が悪い途上国の人は10歳までにほぼ全員感染しますが、日本人の75歳以下は抗体を持っていないことが多いです。破傷風は、1968年生まれ以前の人は定期接種を受けていません。東日本大震災で破傷風になったのは50歳以上の人でした。B型肝炎は、世界180か国以上でがん予防ワクチンとして接種されていますが、日本では定期接種に入ったのが2016年です。

持病があり薬を内服中の方は、念の為に英文診断書を携帯しておくとよいでしょう。また、外務省「世界の医療事情」では、現地の医療機関の情報が得られます。

 

② 旅行先のこと

日本で冬におなじみのインフルエンザは、シンガポールでは一年中、南半球では冬(=日本の夏)、沖縄では冬に加え夏にも流行しています。中東では高齢者が重症化しやすいMERS(中東呼吸器症候群)が発生しており、ラクダに触れて帰国すると、健康監視対象になることがあります。最新情報を厚生労働省検疫所FORTHホームページや外務省海外安全ホームページでチェックしておきましょう。

 

③ 旅行先での自分の行動に関すること

イヌ好きの人はどんなイヌでも触りたくなりますよね。しかし世界中で狂犬病ゼロの国は、日本と北欧の一部のみです。海外で哺乳動物に咬まれたら、現地の病院を受診し、狂犬病のリスクを踏まえ適切な処置をしてもらいましょう。

途上国では、カットフルーツや氷、生の野菜・魚介・肉類を避けるのが基本です。蚊にさされて感染するマラリアやデング熱の予防として、虫よけ対策は重要です。また、現地での入院は、薬剤耐性菌の感染リスクがあります。このように、旅先でどのような行動をとるかで感染リスクは随分変わってきます。

 

旅行の出発「前」には、トラベルクリニックの受診を

トラベルクリニックとは、渡航前に必要な予防接種や、マラリア・高山病の予防薬処方、ビザ取得・留学に必要な英文診断書発行などの渡航前相談を行う外来です。日本渡航医学会のホームページなどでお近くのトラベルクリニックをチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

 

■関連ホームページ

・外務省「世界の医療事情」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

・厚生労働省検疫所FORTHホームページ

https://www.forth.go.jp/index.html

・外務省海外安全ホームページ

https://www.anzen.mofa.go.jp/