コラム

「スローフード」ってなんだろう?

2019年11月25日
提供元:
NPO法人エビデンスベーストヘルスケア協議会、株式会社ライフケアパートナーズ

 

スローフードと聞くと、ファストフードの反対であると思われる方が多いのではないでしょうか。お店に並ぶとすぐ出てくる食事、それを大急ぎで食べて時間に追われる生活。皆様の中にも、この様な経験をしたことがあると思います。スローフードは単に、このファストフードとは反対の「食事作りに時間をかけて、よく噛んでゆっくり食べる」という意味だけではないのです。

 

スローフードの発祥は?

スローフードは1986年、北イタリアのブラという街にてカルロ・ペトリーニが始めたmovement(運動)です。食における「喜び」と「知識」を結びつけ、幸せな未来を築くことを目的にしています。地域の郷土料理が消滅し、人々の食品に対する興味の減退を危惧し、人間の食べ物の選択がどのように世界に影響するかについて、今一度考えてみようという趣旨があります。ペトリーニが提唱したスローフードは、以下のように表すことができます。

Slow food =Good(おいしい)+Clean(きれい)+Fair(ただしい)

 

つまり、地域の中で守られた美味しい郷土料理を伝え、食事を通して環境を守る意識を持ち、生産者に正しい評価をすることが、スローフードなのです。

 

日本ではスローフードをどう考えるか

2013年に伝統的な日本食(和食)がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本の食文化は国際的に注目されています。日本食は自然尊重という日本人の精神を体現し、食に関する社会的慣習として提案されました。新鮮で多様な食材と持ち味の尊重、栄養バランスに優れた健康的な食生活、自然の美しさや季節の移ろいを表現、正月行事などの年中行事との密接なかかわり、これらが日本食文化の特徴であり、生活の中で見直してみると、きっと新たな発見があることでしょう

日本食は、医学的な視点から見ると死亡率の低下、がん罹患の予防、循環器疾患死亡リスクの低下、うつ病発症リスクの低下、要介護認定の発生低下など、健康との関連が解明されつつあります。

このように日本食の文化的かつ科学的意義を知り、日本食の良さを次世代に継いでいくことが日本におけるスローフードの大切な意味かもしれません。食の大切さを再認識し、郷土料理を受け継ぎ、食の生産者と消費者のあるべき姿を追求し(地産地消の促進)、環境保護に目を向けてあなたのスローフードを実践してみませんか。

*日本食:大豆製品、魚介類、野菜を含む主食、主菜、副菜を組み合わせた食事